初めて登った山が富士山でした
再就職して間もない30代半ば、友人たちに誘われて富士山に登りました。
それまで登山の経験はほとんどなく、
初めてのちゃんとした登山が富士山でした。
無知って本当に恐ろしいですね。。
買ったばかりの登山靴に、息子が遠足で使ってるリュック、
ふつうのチノパンという何とも適当な装備で挑んだわけですが、
5合目から登り始めて、6合目にも着かないうちにバテバテ、
本気でもう下山したい・・・と後悔し始めました。
遅れがちな私を気遣って、荷物を友人が持ってくれて、
叱咤激励されながら、騙し騙し、なんとか本8合目の山小屋に到着。
体はめちゃくちゃ疲れてるのに、硬く湿った枕とお布団で一睡もできず、
暗いうちにまた出発し、酸素も薄~い極寒の中、
這うようにしてごつごつした岩場を歩き続け、
疲労困憊で日の出前に頂上にたどり着きました。
酸欠気味で放心状態の中、雲海からゆっくりと昇ってくる火の玉のような
神々しいご来光を見たときは涙が止まりませんでした。
富士山のてっぺんから、実家に預かってもらってる子どもたちに
感動を分かち合いたくて電話しました(当時はまだガラケー)。
娘は寝ぼけながらも「ママすごいね」と言ってくれました。
そこからの下山がまた大変で、途中から完全に膝が笑ってしまって、
一歩踏み出すたびにくにゃっと転んでしまい、まともに歩けなくなりました。
友人からは「真面目にやれ!」と言われ、
すれ違う知らない小学生からも指さして笑われる始末。
まさに生まれたての小鹿そのものでした。。
二人の友人に両脇を抱えられながら引きずられるように下山したけど、
足の指の爪は何枚か完全に死んで剥がれ落ちていました。
そんなこんなで、90%仲間のおかげで富士登山を成し遂げられました。
最後まで私を見捨てないでいてくれたみんなには感謝しかありません。
そしてもう二度と登ることはないでしょう(迷惑かけすぎるので)。
でもそれからの人生で辛いことにぶち当たったときに、
「私は富士山に登った女」と魔法の言葉をつぶやくと、
あの辛かった富士登山を思えば何のこれしき!!と力がみなぎってくるのです。
その後、登山にハマり、いろいろな山に登り、
いろんな角度から富士山を眺めてきました。
そのたびに、あの日あの稜線のてっぺんにいたんだよなぁと、
異次元の風景のようなご来光を思い出すこともできる。
登頂した人にしか見ることのできない光景は
かけがえのない一生の宝物です。
勇気を出して一歩踏み出し、
日本で一番高い場所に登ったことで、
物理的にも精神的にも新しい視座を得ることができました。
あのとき思い切って挑戦して本当によかった!
誘ってくれた友人に心から感謝です。